「検察審査会」とは  2010.10.9 青山修

 いま巷ではこの話題で持ちきりです。皆さんの家庭や職場ではいかがでしょうか。
『小沢一郎氏VS       (目には見えない敵)』の主役に見事カムバックを果たした「検察審査会」です。今を時めく特捜が1年以上も掛けて出した小沢氏に対する不起訴処分がお気に召さないようです。

 そもそも検察審査会制度とは、検察官が被疑者を起訴しなかった事について選挙権を有する国民の中からクジで選ばれた11人の検察審査員が審査する制度です。その趣旨は公訴権の行使に民意を反映させて,その適正を図ることだそうです。http://www.courts.go.jp/kensin/q_a/index.html

 実際に審査を行うメンバーをどうやって選ぶのかといいますと、
まず市町村の選挙管理委員会が選挙人名簿からそれぞれ割り当てられた人数をクジで選び、検察審査員候補者名簿を作成します。一つの検察審査会で400人が候補者として選ばれます。その候補者名簿から、検察審査員及び補充員をクジで選ぶわけです。

 今回小沢氏を「起訴すべき」との議決をした審査会メンバー11名の平均年齢は30.9歳だそうです。それにしてもかなり若いです。上記のようなある程度公平なクジ引きで、選挙権のある20歳以上の人から無作為に選んだメンバーの平均年齢が30歳そこそことは。偶然とは恐ろしいです。

 ちなみに平均年齢30.9歳の11名の集団を例で挙げてみますと、こんな感じです。
(例1)80歳が2名、20歳が9名 →「長老と新成人がふれあう会」
(例2)60歳が3名、20歳が8名 →「還暦さん&新成人さん、いらっしゃい!」
(例3)60歳が1名、55歳が1名、25歳が9名 →「社長と専務を囲む若手社員研鑽会」

 こうしてみると、「民意を反映するために」クジで公正に選んだにしては、いかに不自然なメンバー構成であるかがよく分かるかと思います。まあ最近のニュースを見ていると何が起こっても不思議でないご時世ですから、これくらいは大した事ではないのかもしれませんね。

 全く関係ないのですが、最近あまり話題にならないあの「横綱審議委員会」も平均年齢30歳くらいにしたらどうでしょうか?もちろんクジでですけど。そうすれば公正に民意が反映されて、横綱になったら「ガッツポーズ」や「土俵にキス」もOKとか、さらには引退した朝青龍をマゲなしで横綱に復帰させたりとか、楽しい議決が出たりするんじゃないですかね。何しろ「国民の声」は大事ですから。

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後継ぎ問題  2010.9.29 青山修

 最近は尖閣諸島の陰に隠れがちでしたが、北朝鮮における後継者問題が新たな展開を見せています。金正日総書記の三男ジョンウン氏が、朝鮮労働党代表者会で党中央委員と党中央軍事委員会副委員長に選出され、事実上の後継者となることが決まったようです。少なくとも日本のディズニーランドが大好きな長男ヨンナム氏が後継ぎでない事だけは確かなようです。

 映画『ゴッドファーザー』では、マフィアのドン(M・ブランド)は長男ソニー(J・カーン)がファミリーを継ぐものと考えていましたが、結果として三男マイケル(A・パチーノ)が継ぐ事となりました。金正日総書記はかなりの映画ファンらしいですが、特に関係はないのでしょう。

 ソフトバンク㈱では、孫正義社長の後継者を社内外から広く募り、10数年掛けて候補者を選抜・育成していくプロジェクトを進めています。周りが驚くような事をするのが孫社長のやり方でしょうが、このプロジェクトで本気で後継者選びをするつもりなのか、真意の程はよく分かりません。少なくとも若き日の孫正義氏だったら、このようなプロジェクトに応募していなかったのではないでしょうか。

 「名選手、名監督にあらず」というわけではないのでしょうが、成功した経営者が良い後継者を選べることはごく稀であり、失敗するケースが多いようです。数年前一旦会長職に退くも、また社長にカムバックしたファーストリテイリング社の柳井氏のようなケースもありました。そもそも優れた経営者が何代も続く事の方が現実的ではないのかもしれません。

 国家や大企業だけでなく、全国約400万社の中小企業(会社+個人事業者)にとって、会社の相続ともいえる「事業承継」は経営の根幹を揺るがしかねない切実な問題です。
「いかに後継者を育てる(探す)のか」いうのは本当に大きな問題です。企業には永続的な発展を目指すとともに、社員とその家族の生活を守っていくという使命があります。

 親族に任せるのか、生え抜き社員から選ぶのか、外部から招聘するのか、はたまたM&Aで会社を売却するのか、従業員に受け入れられる後継者を選ぶのは容易な事ではありません。また、実際に後継者争いにでもなれば経営どころではありませんし、企業自体が疲弊してしまいます。

 もう一つの大きな問題として、経営者個人として、どうやって相続税を払うのかという問題があります。日本は世界一相続税が高い国と言われています。上場企業の株式なら売却することもできるでしょうが、中小企業が自社株を売却し現金化するのは簡単ではないですし得策ともいえません。となれば、自社株買いで資金を調達したり、死亡弔慰金や死亡退職金をうまく活用して納税資金を用意するなど他の手段を講じなければなりません。生命保険を利用する事も有効と言えるでしょう。

 さらには相続問題があります。たとえ生前から長男を後継ぎと決めていても、先代の死後、次男、三男が遺留分を請求してきたらどうなるでしょう。自社株や事業用資産をうまく後継者に引く継ぐ事ができなければ、会社の永続どころか、存亡さえ危うくなってしまいます。この遺留分に関しては平成21年3月から民法の特例制度が施行されていますので、また改めてお話することにします。

 我が国の経済を支えている中小企業をいかに永続させていくかは、国内最優先課題の一つと言えるでしょう。中国など外資による企業買収も増えており、技術の流出も懸念されます。本来庶民の味方である市民活動家出身の菅首相には何らかの手を打ってもらいたいものです。とはいえ領土で骨抜きにされるのも、これまた心配ではありますが。

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「遺言書」を作成しましょう。 2010.9.27 青山修

 前回、将来の相続トラブルを防ぐためには、「遺言書」を作成すべきとお話しました。
皆さんは「遺言(ゆいごん、いごん)」について、お考えになった事がありますか?
それは皆さんの年齢によっても、また置かれた状況によっても異なる事でしょう。

 一般的に我が国では、諸外国に比べて遺言を書く人が少ないようです。
その理由としては、我が国においては昔から長男が全財産を相続する風習があり相続による争いが少なかった事、また戸籍の整備が進んでおり誰が相続人かが明確であり、わざわざ遺言を残す必要性を感じないという風潮があるのかもしれません。
もしもこれをお読み頂いているあなたが遺言を書いておられないとしたら、その理由がそれなのかもしれません。
 
 また、「遺言なんて、まだ早い」とお思いの方も多いのではないでしょうか。
我が国の民法第961条によれば、「15歳に達した者は、遺言をすることができる」とあります。よって未成年でも遺言を書ける事になります。15歳で遺言を書く人なんているのか?とお思いの方、ごもっともです。たしかに実際15歳で遺言を書く人がそんなに多いとは思えませんが、我が国の法律ではそのように規定されています。
ですから、もしも『14歳の母』からご相談があった場合には、当事務所としては「お子さんの為にも、15歳になられたら遺言を書いてはいかがでしょうか?」とお勧めしたいと思っています。

 15歳という法律の規定が実情に即しているかは置いておくとして、我が国の法律では、法定相続分よりも遺言を優先しています(民法第902条)。
つまり、まずは遺言があるかないか、もしも遺言が残されていない場合に、法定相続分に従います。要するに、遺言で指定することで、原則本人の思い通りに相続財産を配分できるというわけです。(遺留分や遺産分割などの例外については別の機会にお話しします)

 将来の相続トラブルを防ぐためには、是非とも「遺言書」を作成すべきなのですが、だからといってただ書きさえすれば相続トラブルが防げるというわけではありません。
中途半端な遺言を残した事で、かえってトラブルになったという事例もあります。要するに「どのように書くか」が重要なわけです。

 また長くなってしまいしましたので、また改めてお話したいと思います。

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「相続」について考えてみましょう  2010.9.24 青山修

一気に涼しくなりました。もう猛暑については忘れましょう。
秋の夜長といえば、静かに読書をしたり、ゆっくり考え事をしたり、自由で穏やかな時間を過ごす季節ですね。そこで突然ですが、皆さんに考えていただきたいのが、何を隠そう「相続」です。

「相続」は、多くの人が遅かれ早かれ出会う事象ですし、本来とても関心が高い事と考えられます。ところが一般的には「相続」が表立って語られる事は決して多くありません。たしかに、若者にとっては「他人事」、年配の方にとっては「考えたくもない事」なのかもしれません。
また「相続」のイメージといえば、山崎豊子さんの小説『女系家族』にあるような人間関係のドロドロ、ジメジメ、骨肉の争いと、おおよそ気持ちのいい表現は見当たりません。

実際に「相続」が引き起こす問題は、とても根深く尾を引きます。相続トラブルの火種は家族の中において長い時間を掛けて燻っているのかもしれません。それまでは取りに足らない些細な事象であった事が相続開始後に一気に爆発してしまうのでしょう。
にもかかわず、多くの方が何の準備をする事もなく、何の心構えもなく、いきなり相続本番に直面するわけですから、トラブルにならない方が不思議と言えます。

それでは、将来の相続トラブルを少しでも防ぐためにすべき事とは何でしょうか?日頃から家族皆が仲良くする事でしょうか?「お前がしっかりリードしてくれよ」と長男に伝える事でしょうか?
もちろんこれらも大事な事かもしれません。しかしながら、「あとは家族皆で仲良くやってくれ」という気持ちは誰もが思う事ですし、それだけでは現実的にうまくいかないようです。

また、「我が家には財産がないから大丈夫」、「うちの家族は本当に仲がいいから心配ない」、「法律で決まった通りに分けるんだから問題ない」とこんな風にお考えではありませんか?残念ながらこれらは全て間違いと言わざるを得ません。

やはり、「遺言(ゆいごん、いごん)」を書く事だと思います。将来の相続トラブルをできるだけ防ぐために生前にすべき事は、これに尽きると思います。
とはいえ、ただそこらの便箋に思いのままを書けばいいというわけではありません。法律上一定の要件を満たした「遺言書」を作成する事をお勧めしたいと思います。

少し長くなってしまいましたので、相続トラブルを防ぐための「遺言書の作成」については次回以降に続きます。

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目黒のさんま祭り  2010.9.21 青山修

19(日)、「目黒のさんま祭り」に参加してきました。
このお祭りは、古典落語「目黒のさんま」から生まれ、
今年で15回目を迎えた東京都目黒区と宮城県気仙沼市との交流事業です。

皆さんもニュース等でご存じのとおり、今年は主役(主賓?)のサンマが不漁です。
そのため、一時は祭りの開催も危ぶまれるほどでしたが、当日には、無事、宮城県気仙沼市から新鮮なサンマが5000匹届けられ、
朝10時過ぎから、気仙沼市と目黒区双方のボランティアからなる「焼き隊」によって芳ばしく炭火焼きされ、無料で振る舞われました。 
その新鮮なサンマを求める長蛇の列は前夜から始まり、長引く猛暑にもかかわらず、
ディズニーランドのアトラクションか、はたまたアップル社の新製品発売かという大変な盛り上がりを見せていました。

そんな中、我々東京都行政書士会目黒支部は、お祭り会場の一角において、無料相談ブースを設けさせていただき、「相続」に関するクイズを行うなど、街の皆さんと直接触れ合う機会を持つことができました。
「祭り」と「相続」というのも何とも粋な(?)組合せではありますが、大変多くのお客様が足を止めて我々の話に耳を傾けてくださり、
昨今の「相続」や「遺言」に対する関心の高さをあらためて実感する事ができた有意義な一日でもありました。

全国各地のお祭りなど伝統行事は、長引く不況や若者など担い手の減少により、「縮小」「廃止」の憂き目にあっている所も少なくありません。ボブ・ディランの名曲にもあるように「時代は変る」のかもしれません。
ただただノスタルジーに浸っていても何も変わりませんが、我々が幼少の頃、親に連れられて足を運んだ屋台の味や盆踊りの思い出を、少しでも伝えていきたいものですね。

当事務所がある目黒区自由が丘においては、来月10/10(日)、11(祝)の両日、
数ある自由が丘のお祭りの中でも最大のビッグイベント「女神祭り」が開催されます。
皆さんもご家族お誘いの上、どうぞお越しください。
http://www.jiyugaoka.or.jp/index.html

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人生は40歳から  2010.9.9 青山修

私の祖母は、今年の11月に100歳を迎えます。
1、10、100の100歳です。ホントです。所在も明らかです。さすがに役所の方がお祝いに来られるそうです。

祖母は若い時からテニスをしていて、とても活発でしっかりした強い女性だったと聞きます。また、昭和20年8月6日には、私の母を背負って爆心地の焼野原に入っています。

昔こんな会話をした記憶があります。「あんたの腕はこまい(細い)のお、ワシ(祖母です)なんか、こないに立派じゃけん」とたるんだ腕を自慢された事がありました。

幼少の頃は家族で夏休みに遊びに行くと、祖母が、イワシのお刺身や太巻きなど沢山の料理を振る舞ってくれ、五右衛門風呂を沸かしてくれた事を今でもよく覚えています。

100歳の自分を想像してみたりしますが、まったく想像できません。おそらく友人は誰も生きてはいないでしょう(異議があれば連絡ください)。

最愛の妻はどうでしょうか?世の中もすっかり変わっている事でしょう。
私自身、今感じている事、大切にしている事など、何を覚えているのだろう?何も覚えていないのかもしれません。

考えてみてもはじまりませんが、100歳を迎えるなんて、
やはり凄い事だし、とても素晴らしい事だと、素直にそう思います。

ジョン・レノンの曲に「人生は40歳から(Life begins at 40)」という曲があります。
そう考えると、私など、ようやくスタートを切ったばかりです。まだオムツも外れていないのかもしれません。

また還暦を迎えた方でも、まだ成人したばかりです。成人式で大暴れするような頃です(これはいけません)。まだまだこれからです。

私自身、100歳を目指すとは言いませんが、
とにかく「まだまだこれから」だと、そう感じています。

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行政書士の仕事とは?  2010.9.6 青山修

皆さん、我々「行政書士」が日々どんな仕事をしているかご存知でしょうか?

例えば、同じ士業(しぎょう、さむらいぎょう)のなかでも、一般的にテレビ等で馴染みがあるのが裁判業務等を行う弁護士さんでしょう。また、税理士さんなら「税金」、司法書士さんなら「登記」という言葉が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

一方、行政書士については、ここ最近コミックやテレビドラマに登場してはいるものの、一般的によく知られているとはいえない現状があります。その原因はいろいろあるかと思いますが、行政書士の仕事の幅広さが、その一因となっているのかもしれません。

行政書士は、官公署などへの手続きや権利義務、事実証明関係書類などに関する法律と実務の専門家です。言い換えると、書類作成のスペシャリストとして身近な法律問題を解決する仕事をしています。

例を挙げてみますと、
行政書士の仕事のひとつに「相続」に関する業務があります。
不幸にもある方が亡くなられたとします。
ご遺族の方から行政書士事務所に相続に関するご相談がありますと、死亡届の提出など、ご遺族にやって頂く手続きについてご説明します。
ご依頼に応じて、戸籍謄本等の取寄せを行い「相続人関係図」を作成し、併せて相続財産に関する調査を行い「相続財産目録」を作成します。
また、相続財産の分割について相続人の間でお話し合いが付けば、その内容をもとに「遺産分割協議書」を作成するといった業務を行います。

また他の専門家と連携が必要な場合もあります。
相続税の申告が必要な場合は、税理士さん、
相続財産に土地、建物などの不動産があり相続登記が必要な場合は、司法書士さん、
はたまた相続人間の話し合いがうまくいかず裁判沙汰となる場合は弁護士さんの登場です。

大切なご家族を失った悲しみの中にあるご遺族の代わりに複雑な手続きを行い、必要に応じて他の専門家と連携して、ご遺族を的確にナビゲートするのが行政書士の相続業務といえます。

これからも、このブログを通して少しでも多くの方に「身近な街の法律家」である行政書士の存在をアピールしていければと考えています。どうぞ宜しくお願いいたします。

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