ロング・グッドバイ(長いお別れ) 2022.11.17 青山修

米国では「認知症」を指して、『Long Goodbye』と言うのだそうです。病状がゆっくりと進行し、少しずつ記憶を失くしていくさまが、『ロング・グッドバイ(長いお別れ)』と呼ばれる所以のようです。

『ロング・グッドバイ』というと、米国の作家レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説を思い出す方も多いと思います。監督ロバート・アルトマン、主演エリオット・グールドで映画化もされました。いずれも素晴らしい作品でした。因みに私はバーでギムレットを注文したことはありません。

認知症は、脳の病気や障害などの原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。なかでもアルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきるそうです。

我が国における65歳以上の認知症の方は推定約600万人と言われています。2025年には約700万人に達すると予測されています。つまり高齢者の約5人に1人が認知症となるわけです。ちょっと怖くなるような数字ですが、これが実態のようです。

現在、認知症を完全に治す治療法はありません。現在の治療目標は、できるだけ症状を軽くして進行の速度を遅らせることだけですから、やはり『早期発見』と『早期治療』が重要となってきます。

もしも以前より物忘れが増えた等、少しでも異変を感じたら(周りの方に対しても)、念のために専門医を受診するのが良いでしょう。これは高齢者に限りません。若くても認知症を発症することがあります。結果として思い過ごしなら、それでいいわけですから。ギムレットとは異なり、「認知症治療には早すぎる」という事はないようです。

アルツハイマー型認知症を患った著名人として思い浮かぶのは、『刑事コロンボ』の俳優ピーター・フォークです。2008年、家族によって病状が公表され、2011年に他界しました。たとえ彼が自分がコロンボである事を忘れてしまったとしても、世界中のコロンボファンは、彼を忘れる事はないでしょう。もちろん私もです。

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