オトコノコ、オンナノコ  2011.1.26 青山修

私は幼少時代のある土曜日、野良犬に追いかけられ、何とか近所のお宅の門の中まで辿り着き、サンダル履きの父に助けに来てもらった事があります。本当に怖い思いをしましたが、あの時ほど父親が大きく見えた事はありません。それにしても最近はめっきり野良犬を見かけなくなりました。そのせいか街で父親の威厳を見かける事も少なくなったように思います。

昨今の不況にも係らず、ペット関連市場は堅調な推移を見せています。ペットの生体販売及び関連用品を合わせると2兆円産業とも言われています。最近流行っているペット幼稚園なるものでは、バスの送迎があったり、ただ預かるだけでなく、ちゃんと躾までして良い子に育ててくれるそうです。

また、ペットと暮らせるマンションも増加しています。空き室対策としてペット可を売りにするケースもあり、「そういえば、うちのマンションも知らないうちにペットを見かけるなあ」という方もおられるのではないでしょうか。

さらには血統書付きやブランド志向により、ペットの財産としての価値も上がっています。私の事務所でも、少し前にペットに関する希望を遺言書に盛り込みたいというお客様がありました。

全国で飼育されている「ワンちゃん」「ねこちゃん」は、約2234万匹といいますから、人間の15歳未満の子供ちゃん(約1725万人)より遥かに多いわけです。だからどうというわけでもありません。

ペットの数が増えれば、当然トラブルも増えてきます。ペットショップの中には、契約書も作らず、ろくに説明もせずに販売する業者もあり、「買った後すぐ死んだ」「前から病気だった」等のトラブルが増加しているようです。もしも購入をお考えなら、契約書がないとか、動物の特性や飼育方法等につき事前の説明もないようなショップでは買わない方が無難でしょう。

またインターネット販売ではトラブルに多様性が加わります。「写真と色が違った」「思ったより大きかった」等、あまり笑えないトラブルもあるようです。これは本当に言うまでもありませんが、ペットは生き物ですから、あまり気軽にクリックするのはお勧めできません。少なくともモノを見てから買うようにしてください。

他にも、ペットホテルから抜け出して事故に遭った、トリミング中に急死したなどのトラブルもあるようです。兎に角、買うにも、預けるにも、契約書や約款等を十分確認するようにしてください。これは何もウサギに限った話ではありません。

ペットに纏わる近隣トラブルも増加しています。原因のビッグ3として、「鳴き声」「悪臭」「不衛生」が挙げられますが、実際のトラブルにおいては、「これまで隣人から挨拶された事もないので腹が立った」など、ペットとは直接(全く)関係のない事が原因という面もあるようです。兎に角、日頃から挨拶を忘れないでください。

いずれにせよ、ペットがこれだけ我々の生活に入り込んでいる以上、「ペットと人間」、「オーナーと近隣住民」は、うまく共存していかねばなりません。

特に(私のように)ペットを飼っていない人達が忘れてはならないのが、ペットはオーナーにとって「家族」、もしくは「それ以上の存在」であるという事です。独り暮らし世帯の増加、飼い主の高齢化等により、ペットは人生における「かけがえのないパートナー」になりつつあります。「たかが犬コロだろ!」と威勢のいい貴方、こんな声に聞き覚えはありませんか?

「孫は滅多に会いに来ないが、ペットはいつも一緒。」
「子供は言う事なんか聞きもしないが、ペットは従順。」
「夫や彼は浮気もするが、ペットは忠実。」

最後に、ペット業界では常識の業界用語をご紹介しましょう。言うまでもありませんが、「犬」「猫」とは言いません。もちろん「ワンちゃん」「ねこちゃん」です。また、飼い主は「オーナー」、エサは「フード」です。となれば「オス」「メス」なんて口が裂けても言えません。もうお分かりですね。ゴー!ゴー!ではまた。

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